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第1話のタイトルは「真実」。
幼なじみ・かいんとの何気ない日常から、物語は静かに動き出します。
第一話 「真実」
「こよみ、帰ろうぜ。」
彼は私の幼なじみで、隣人のかいん。小さい頃からいつも一緒にいたらしい。
「うん。」
私は小さい頃の記憶がまったくない。
父と母はおらず、祖父母(祖母は去年亡くなった)の家で暮らしている。
かいんとの記憶もなく、彼に「幼なじみだ」と言われて、そうなんだと思っている。
「後ろ、乗るか?」
自転車通学のかいんは遅刻常習犯で、授業もサボり気味だ。
「いい。だって怖いんだもん。」
「はあ? 安全運転だろ?」
「ぜんっぜん! 安全運転じゃありませ〜ん!」
私はよくかいんをからかって遊ぶ。
そんな姿を見て、まわりからは兄妹のようだと言われることも多い。
「あっ、そうだ。」
「なに?」
「今日ヒマだろ? これからあの神社に行かね?」
「あの神社」とは、小さい頃によく遊んだ場所だ。
今は廃神社となり、大きな神木と寂れた境内だけが残っている。
「いいよ。」
ため息まじりに私は答えた。
(どうして、あそこに行きたがるんだろう……)
一度帰宅して荷物を置き、私は家を出た。
「お、来たな。行こうぜ。」
「はいはい。」
肩を並べて歩く。
「いつもここに行くよね。好きなの?」
「お前……やっぱり覚えてないのか。」
大きな神木の前に立ち、空を仰ぎながらかいんは語り始める。

「俺たち、ここで約束したんだ。5歳の冬の日に。」
(5歳の冬の日……。それって確か、母と父が行方不明になった日。でも、それと何の関係が……?)
「約束なんて、覚えてないけど。」
「……。」
かいんは少し悲しそうな表情を浮かべた。
申し訳なくなった私は、内容をたずねることにした。
「なんて約束したの?」
かいんは振り向き、笑顔を浮かべながら私に近づいてくる。
驚く私をよそに、彼は顔を近づけ、人差し指を唇に当てた。
「……秘密。」
「なによ〜、それぇ!」
からかわれたと気づいた私は、かいんの胸をポカポカ叩いた。
そんなやり取りをしていたその時――
神木から声が聞こえた。

「こ……よ……み……」
驚いた私は、思わずかいんに飛びついた。
「今……誰か呼んだ?」
「はあ? 何言ってんだよ。ここには俺らしかいねーだろ。」
「ついに頭だけじゃなくて耳までやられたか?」
「なんですってぇー!」
からかい逃げるかいんを、私は全力で追いかける。
(でも……たしかに誰かが、私を呼んだ気がする――)
息を切らせながら、私たちは笑いあった。
「速いな……相変わらず。」
「そっちこそ、ね。」
ひと息ついたあと、私はかいんと別れ、自宅へと向かう。
(神社での一件……おじいちゃんに聞いてみようかな。)
「ただいまー!」
玄関で靴を脱ぎ捨て、私は祖父の部屋へと駆け込んだ。
「おじいちゃん!」
「なんじゃ、そんなに慌てて。」
さっきまでお茶を飲んでいたらしい祖父は、湯呑をそっと下ろして振り向いた。
「あの神木って、何?」
「話がまったく見えんのじゃが……どういうことじゃ?」
(あっ……慌てすぎて話を端折りすぎた)
私は落ち着いて、神社での出来事を説明した。
「あの神木から、声が聞こえたの。」
「……」
深刻な顔で黙り込む祖父は、やがて決心したように私の目を見た。

「……お前に話す時が来たようじゃな。」
「よく聞くのだ、こよみ。
お前がなぜ過去を忘れているのか。
父と母がなぜ行方不明になったのか。
そして、神木から聞こえた“あの声”。
すべての原因は……“ある国”に関係しているのじゃ。」
意味が飲み込めない私をよそに、祖父は続けた。
「その国の名は――ダーク・サーガ、じゃ。」
つづく
🌀次回予告:「出会い」
神木から聞こえた“声”の正体とは。
そして祖父が語る異世界「ダーク・サーガ」とは一体――?
次回、第2話では、こよみの運命が大きく動き始めます。
▼続きが気になる方は、ぜひブックマーク&次回更新をお楽しみに。
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